アメリカのケータイ小説は日本のマンガアプリ並みの売上

日本ではブックアプリといえば「マンガ」だが、アメリカではそうではない。2017年ごろから、「チャットフィクション」と呼ばれる新しいジャンルのアプリが、10代の若者を中心に人気を博しているのだ。

以下の図は、iPhoneのブックカテゴリ(売上)を上位から順に並べたものである。日本とアメリカで、ジャンルの様相が全く異なることが分かる。

(※CF・・・Chat Fiction)

チャットフィクションとは何なのだろうか。端的に言うと、チャット形式で展開されるストーリーである。以下のように、Messengerアプリのような形式でストーリーが展開されていき、主にホラーと恋愛ジャンルが盛んである。

「若者に馴染みの深い活字フォーマット」×「ホラー・恋愛」という組み合わせは、2002年~2005年あたりの日本におけるケータイ小説ブームを彷彿とさせる。

(出典:HOKED

マネタイズ方法は、「ある程度読むと一定時間、続きを読めなくなる。課金するとすぐに読める」「購読者限定のストーリー」「挿絵が有料」などである。日本のマンガアプリと同規模の売上を叩き出している点は驚きに値する。

ただし、日本ではそれほどの人気にはなっていない。アメリカ1位のHookedは日本語にも対応しているが、日本のiPhoneブックカテゴリでは、23位である(2018年4月12日時点)。理由は明快で、既に浸透しているマンガアプリと競合するからであろう。日本のマンガは、長い時間と資本をつぎ込み、質の高いコンテンツ、作者、文化を醸成しており、それを切り崩すのは容易ではない。実際、チャットフィクションのような形式のアプリは日本でも、少なくとも2013年頃には存在したが、話題になることはなかった。

他国に関しても、既にマンガの文化が浸透している国(例:韓国,フランス,台湾)では、マンガアプリの方がチャットフィクションよりも上位にきており、そうでない国ではチャットフィクションが上位にランクインしていた。

しかし、ストーリー(IP)の製作コストという面ではマンガより安価だと考えられ、日本においても今後、注目度が上る可能性はある。


また、アメリカでは更に最近、「インタラクティブストーリー」というジャンルが流行っているようだ。

以下の図を見れば分かるが、売上規模は日本のマンガアプリをも凌いでいる。

ユーザーの選択肢に応じてストーリーが変化するという形式であり、日本で言うところのノベルゲームであろう。DL数を見れば分かるように、これが物凄いスピードで伸びており、「ストーリー」というジャンルが熱を帯びていることが分かる。

ノベルゲームは、日本でも今後ますます重要になっていくだろう。なぜなら、マンガの海賊版への対抗策にもなるからである。ノベルゲームの形式であれば、違法コピーの難易度は上がる。また、ノベルゲームの本編自体は無料で提供し、広告や追加サービスでマネタイズする構造にすれば、海賊版(無料)自体が存在意義を失う。

更に制作ツールの面でも、プログラム知識の無い素人が簡単につくれるようなツールが充実し始めている。同様に、公開の場としても、HTML5との親和性が高く時代の流れに沿っている。乙女ゲーム(女性向けの恋愛ゲーム)という、比較的新しい市場もある。

以上の面から、ノベルゲームはアメリカのみならず、日本でも注目に値するジャンルである。


このように、同じ「ブック」「ストーリー」という分野でも、アメリカと日本で随分と傾向が違う。そして、示唆に富んでいる。チャットフィクションとインタラクティブストーリーに関しては、引き続き、動向に注目していくべきだろう。


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参考文献

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