SNSの情報が個人の信用情報に?中国クレジットテック最前線

新興国や先進国では近年、クレジットテックと呼ばれるビジネス領域が大きく発展している。

クレジットテックとは、テクノロジーを用いて個人のWeb利用状況から信用情報を新たに創造することで、信用を定量化・より精緻化するサービス分野を指す。

Web上での取引やCtoC取引が活発化するにあたり、従来の銀行や政府、クレジットカード会社による信用格付けだけでは個人の信用を正確に測れなくなってきている。そこでネット上のビッグデータ、すなわちSNSの利用状況や検索行動、購買・決済データを用いて信用力を評価しようとする動きが加速している。その中でも一歩先を行くのが中国だ。

多数のクレジットテックスタートアップが誕生し、中国政府は2020年までに新たなクレジットスコアシステム(Social Credit System : SCS)の導入を目指している。

中国でクレジットテックが発達した理由の一つは、スマートフォン、またそれを用いたスマホ決済の普及率が高いことだ。

中国における電子マネー取引額は年間約150兆円と言われている。これは日本の30倍だ。

二大サービスは、阿里巴巴(アリババ)集団の「支付宝(アリペイ)」と、騰訊控股(テンセント)の「微信支付」。特にアリペイは、中国モバイル決済の約8割を占めている。これにより企業はユーザーの消費行動を詳細に把握し、与信情報として用いることが可能だ。

また、中国では銀行から個人の与信情報を収集することが極めて難しかったことも、クレジットテックの発展を後押しした。2014-15時点の調査で中国では銀行から融資を受けたことのある人は国人口の1/10、中国人民銀行がクレジットヒストリーを持つのも人口の1/3にすぎず、信用度を測るための情報が不足していた。

しかしビッグデータを用いれば、迅速かつ低コストに、借り手の支払能力と支払意志を測ることができる。 

中国政府が2020年の完成を目指すSCSでは、ネット上の購買履歴やSNSでの行動などに基づいてクレジットスコアを設定し、金融ローンだけでなく公務員の採用、旅行できる国などあらゆる審査への適用を計画中だ。アリババグループのアリペイやテンセント系の芝麻信用など8社がすでに、政府システムに組み込める信用スコアシステムを開発中だ。

最先端の与信システムとして注目される一方で、西欧諸国からは、政府が個人のネット情報を収集し信用格付けを行おうという中国政府の取り組みを、ジョージ・オーウェルの小説「1984年」に出てくるBig Brotherのような全体主義・監視社会をさらに完成系へ近づけようとする目論見だとして批判する意見も見られる。

中国でのクレジットテックの隆盛が、日本をはじめとした世界各国に広がっていくかどうか、世界が注目している。

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