TV・広告業界に激震!CMの取引指標変更で何がどう変わる?

2018年4月より、東京の民放キー5局は、テレビスポット広告(CM)の取引指標を、ユーザーの視聴形態の現状により即したものへ変更することを発表した。
これにより、広告費を支払う広告主だけでなく、製作される番組の内容自体も影響を受ける可能性がある。

現行からの大きな変更点は二つ。

1)世帯視聴率から個人視聴率への変更

2)リアルタイム視聴率にタイムシフト視聴率(放送から7日以内に再生された延べ視聴率)を加えた新指標「総合視聴率」を導入

(注*家庭によってはリアルタイムで見た後、別の家族が録画再生でタイムシフト視聴を行う場合もある。こうした重複を除いたものが総合視聴率)

リアルタイム視聴率の測定方法には、従来通り番組枠平均視聴率が用いられるが、タイムシフト視聴率に関しては、録画再生の際にCMをスキップして視聴する視聴者が全体の約半数いることを鑑み、番組枠平均視聴率ではなく、CM枠視聴率が採用される。
この新指標を東京の民放キー5局は「P+C7」(P : リアルタイムの番組枠平均視聴率 + C7 : 7日間内のCM枠平均視聴率)と呼称している。

今回の変更の背景には、個人が好きな時間に好きな番組を見る視聴環境の変化と、視聴率調査を行なっているビデオリサーチ社によるタイムシフト視聴率の調査が2016年秋に実現したという技術的進展がある。

この変更により、「世帯」単位で「リアルタイム視聴」のみを対象に計測されていた視聴率が、録画再生も加え、さらに世帯ではなく個人を基準にするものとなる。これは1962年に視聴率調査が開始されて以来の改革だ。

これに対して広告主側からは一定の理解も示されている一方、インターネットなど他媒体での視聴状況を考慮に入れる必要性や、これまでタイムシフト分は「込み」で計算されていたのが、視聴率に数値として足し合わされることは実質的な広告費の値上げではないか等の懸念が示されている。


今回の視聴率測定法の変更による、番組製作への影響にはどのようなものあると予想されているだろうか。

まずタイムシフト視聴率が取り入れられたことで、これまでの計算方法で想定されたものより、深帯で15%ほど多くの人がテレビを見ていることが判明した。
また従来のリアルタイム視聴率では、スポーツやニュースなどのライブ番組が上位を占めていたが、総合視聴率ではドラマやバラエティ番組がトップを独占する。若年層が録画した番組をタイムシフト視聴しているためだ。

これまでのリアルタイム・世帯ベースでの視聴率測定法を元にすると、自宅で放送時間に合わせテレビを見ることの多い中高齢者向けの番組が重視される傾向にあったが、今回の測定法変更により若年層向け・録画視聴者層向け番組の視聴率が適切に評価され、その広告枠の価値が上昇すれば、若者向けの番組製作がより活発化し、放送される番組の方向性も多様化する可能性がある。


これによってTV界の勢力地図に未曾有の大変化が起こる可能性は十分にある。しかし、今回の変更はより実態に即した視聴率を反映しようとするものである。したがって、視聴者が本当に見たい番組を製作し、多くの視聴者に見てもらうことができれば、より素直に広告的な高評価を得ることが可能になる。これまでに増して、番組の立ち上げ段階での視聴者のインサイト分析やプロモーション戦略が重要な鍵を握ることになるのである。


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